恋愛と価値観

人との付き合い方は千差万別だが、恋愛の上に成り立つ男女の関係というのは、友達付き合いに比べ、より人間の深い部分での付き合いになりやすい。もちろん、どんな友達付き合いでも相手の事を良く観察し、深い部分から相手の事を理解するような人も居る。だが、多くの場合友達付き合いをしているだけでは、相手の深い部分に目を向ける必要にかられることは少ないと思う。だから、恋愛は人の価値観と真摯に向き合うチャンスであり、自分の価値観をより成熟させるチャンスでもあると思う。

俺の場合、男女の付き合いは結婚への助走区間だと考えている。俺と異なる考えを持つ人はたくさんいるが、少なくとも始めから早く別れたいと思って付き合っている人は、一部の例外を除いては居ないはずだと思っている。そして、長く安定した関係を続けていくためには、相手と深い部分で繋がっている必要がある。始めは相手の外見や表面的な性格などのうわべしか見えないが、関係を続けて行くうちに訪れる意見の食い違いなどを契機に、相手が持つ人生観や恋愛観など、その人の根底をなす諸々の価値観に触れるようになる。自分とは異なる価値観に触れた時、人は譲歩し、譲歩され、新たな価値観を作り出す。その過程で破綻が起これば2人は別れるだろうし、乗り越えられればより固い絆を作ることが出来る。自分の経験でもこういった「雨降って地固まる」的な経験は何度もあるし、歌の歌詞にもよくあるくらいだから多くの人が経験をしたことがあるんじゃないかと思う。より深く、より太く結ばれる相手との繋がりは、このような価値観のすり合わせによって得られるもの。

このように、様々な価値観に触れ、自分の価値観を見直し、修正する努力をすることで、柔軟な価値観を身につけることが出来るのではないだろうか?人間みんなが異なる価値観を持っていることは、誰でも知っていることだけど、身を以てそれを感じる事無しに本当の理解は得られないと思う。価値観のすれ違いを実際に感じ、価値観と真摯に向き合うという体験によって得られる教訓は、どんな名言にも勝る。また、そういったすれ違いを感じる事で、価値観を共有し、共感できる有り難さや嬉しさを理解することが出来る。

もちろん友人関係からそういう経験を得ることも可能だけど、恋愛関係において、そういう経験は半ば必然的に訪れるものだと思う。そのため、恋愛というのはより柔軟な価値観を育てることができる良い環境なんじゃないだろうか。

人間の魅力って何なのかは分からないけど、自分なりのしっかりとした価値観を持っているだけでなく、価値観が柔軟であるというのも、その人の持つ魅力の1つなんじゃないかと思っている。より魅力的な人間であるためにも良い恋愛をしたいものだ。