ダイヤの原石

タイトルからスラムダンクとかを想像した人は残念でした。ただの自己満日記です。


人生で最も尊敬する人の一人に、以前働いていた飲食店のオーナーがいる。その店はオーナーが一人で経営している小さな飲食店なのだが、オーナーの人情で常連客がたくさんいる店だった。俺はおっちょこちょいなので、色んなミスをしていた。ある日俺は伝票が重なっているのに気づかず、1枚分の伝票を計算に入れ忘れたことがあった。ミスに気づいたときには客はもうおらず、オーナーに平謝りした。オーナーは同じことしちゃダメだよと一言だけ言って、全く怒っているそぶりを見せなかった。その後も落ち込んでいる俺を励まそうとにたくさん声をかけてくれたりして、そうこうしてるうちに閉店の時間になり、帰ろうとしたときにオーナーがまた声をかけてくれた。「ご飯食べに行こうよ。」。ミスをして迷惑をかけたにも関わらず、その後寿司に連れて行ってくれ、誰でもミスはあるものなんだから気にしなくていいんだよと言ってくれた。オーナーにとってはそれは大した額では無かったのかもしれない(恐らく小さな店であの額だとそんなことはないと思うが)。でもたかがバイトの学生一人がミスをして落ち込んでるだけでそこまで気を使ってくれる、そんなオーナーの優しさに俺は涙が止まらなかった。


そんな訳で、誰よりも人に優しいそんなオーナーのことを俺は尊敬しているわけです。そんなオーナーがよく俺に言ってくれた言葉がある。「君はダイヤの原石なんだよ。」。ミスばっかりで仕事も出来ない俺にオーナーはしょっちゅうそんな言葉をかけてくれた。基本的に自分が嫌いで、普段は卑屈な俺な訳で、そんなオーナーの言葉はいつも全否定していた。同じバイトにはもっと優秀な友達もいて、俺なんかがそんなわけ無いじゃないですかと。でもその暖かい言葉は強烈に俺の体の中に残り、バイトに行かなくなってから2,3年ほど経つ今でも忘れることが出来ない。オーナーは冗談をよく言うからこれも冗談なのかもしれないが、それでも良い、冗談だとしても今それは俺が生きていくうえでの大きな励ましになっている。


自分でも自分がどんなダイヤの原石なのかは分からないし、今は全然輝いてないと思う。だけど、オーナーの言葉を信じて自分を磨いていこう。そしていつか必ず恩返しをするぞ。